会計事務所の後継者不足

現在、会計事務所の抱えている問題の1つとして数えられるものに『後継者がいない』という声が多く聞かれます。一般的な中小企業にも同様の問題は発生しておりますが、会計事務所という士業においては、事務所そのものの存続に関わる課題として多くの所長先生の方が悩みを抱えられている状況です。

後継者の確保が難しいという問題は会計事務所だけに留まらず、会計事務所に業務請負契約をしている企業様などにとっても影響を及ぼすものであり、会計事務所の業界全体の信頼性にも関わるものです。

これらの後継者問題については、いくつかの原因が指摘されているところでもあります。

今後予測される会計事務所の事業継承に関わる「後継者不足」という問題について改めて見直してみましょう。





まず、会計事務所の後継者がどうして不足してきたのか?

という根本的な原因について触れてみましょう。

後継者不足のもっとも大きな原因と言われている背景には『所長先生』の高齢化が挙げられます。




2020年現在、税理士資格を取得している方は増加傾向にある一方で、多くの所長先生の方は50代以上、60代や70代、中には80代といった所長先生の方も少なくありません。

事業所の内訳として、すでにベテランと呼ばれる所長先生の方々はいわゆる団塊の世代であり、今後、多くの事務所において後継問題の選択に迫られることが予想されます。

事業所の後継者となれば親族が引き継ぐことが一般的ではありますが、会計事務所の親族が必ずしも資格を有している訳ではありません。また、親族が資格を持っている場合であっても『所長先生』として事業を運営していけるかどうか、という判断は難しいものです。

会計事務所を運営している所長先生の方が自身の引退を考えている時には様々な問題が発生しますが、後継者が確保出来ないということは『取引先の企業・個人』『雇用している従業員』の将来にも関わります。

現在、会計事務所の所長先生の方々の多くは自身が独立し、長い時間をかけて顧客との関係性や信頼性を築いてきた経緯もあることから『後継者の選択』には慎重にならざるを得ないということも事実です。

しかし、現在の税理士の年齢層割合を見ると、そもそも後継者を確保したり育成していくことも難しいと考えられるデータが出ています。

以下でこれらの根拠について詳しく紹介していきます。



人材確保にも苦戦を強いられる現状


会計事務所だけに留まらず、税理士業という資格は一般企業にも会計や監査役として欲しがられる人材です。

日本税理士会連合会が平成27年に行った第6回税理士実態調査によると、税理士の年齢別の割合を見ると、20代、30代は合わせて全体のわずか「10.9%」しかいません。さらに40代税理士の比率を足しても「28%」という統計が出ています。

これらのデータを元に考えると、現役の税理士の”約7割が50代以上”という計算です。

業界全体の年齢が高齢化してきているという事実は、当然、所長先生という視点から見ると後継者問題にも関わってくるのです。

事業継承を前提に人材を育成しようとしても、他の事業所に移動したり、企業に職を求められることもあります。さらに大前提として年齢層の割合から、圧倒的に後継者となり得る人材が不足していることも分かります。



事務所運営と世代間の年齢差問題


仮に割合の少ない30代や40代の税理士が後継者として見つかった場合でも、事業継承全体の問題が解決するわけではありません。会計事務所の運営においては『顧客との信頼関係』や『従業者との信頼関係』も重要な課題になります。

特に、顧客との信頼関系は時間によって築かれた側面も大きいことから、新しく事業所の代表となる後継者と、引き継いだ元の顧客の年齢差が離れてしまうと価値観などのすれ違いが起こってしまうことも懸念されます。

「現在の取引先や従業員に迷惑をかけたくないから」という理由で事業所を存続させる方法を取ったのに、結果としてその両方に迷惑をかけてしまった、となってしまえば本末転倒になってしまいます。

後継者に求められるのは、外側へ信頼、内側への信頼はもちろんのこと、それまでの実績なども考慮する必要があるのです。

これら会計事務所の事業を引き継ぐ上で、発生し得る問題の全てに対して柔軟に対応出来る後継者が確保出来るかと考えると、現実的には『難しい』と判断される所長先生の方が多いのではないでしょうか。





ここまで紹介してきたように、現在、会計事務所を経営している方々にとって後継者の問題は『向き合うべき課題の1つ』だと言っても過言ではありません。

しかし、事業の継承とはいくつかの選択肢があることも合わせて考える必要があるでしょう。

もちろん、親族の中だけで信頼出来る後継者がいらっしゃる場合にはそのまま事業を引き継いでもらうことによってほとんどの問題は解決するでしょう。問題となるのは、今回取り上げた『後継者がいない』という状況です。

近年ではやむを得ない理由によって廃業するという選択肢以外にも、事務所の同士の統合やM&Aなども検討される所長先生の方が増加してきています。

弊社ではこういった先の見えない不安に悩まれている会計事務所の所長先生様に対してのご相談も承っておりますので、お気軽にご相談下さい。

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